個人のお金と税の話

開業したらまず何をする? 税務署への届け出と準備

フリーランスで働くと決めたら

「フリーランスとして働き始めたいけれど、まず何をしたらいいの?」

そんな声をよく耳にします。

たとえば
デザインやWeb制作を自宅で始める人
ライターや動画編集などのクリエイター業
ハンドメイド作品をネット販売する人
講師業やコンサルなどサービスを提供する人——。

「自分で仕事をしてみよう」と思ったとき
最初のステップが“開業の届け出”です。

ここでは、開業時に税務署へ提出する書類と
その後の準備について分かりやすくまとめました。

① 税務署へ「開業届」を提出しよう

まず提出するのは、「個人事業の開業・廃業等届出書」です。
これは「今日から個人事業を始めます」という届出書で
開業日から1か月以内に税務署へ提出するのが原則です。

提出方法は次の3つ。

  • 税務署の窓口で提出
  • 郵送で提出
  • e-Tax(電子申請)で提出

書き方もむずかしくありません。
屋号(お店や事業の名前)や業種を記入する欄がありますが
あとから変更も可能なので、まずは思いついたものでOKです。

用紙はこちらからダウンロードできます

👉 個人事業の開業・廃業等届出書(国税庁公式サイト)

電子申請を利用する場合は、

👉 e-Tax(国税電子申告・納税システム)

屋号はあとで変更OK。
提出は1か月以内を目安に。
マイナンバーカードがあれば、e-Taxでオンライン提出がスムーズ。

② 「青色申告承認申請書」も一緒に出しておこう

開業届と一緒に出しておきたいのが、「所得税の青色申告承認申請書」です。
青色申告を選ぶと、さまざまな優遇措置を受けることができ
税金面で大きなメリットがあります。

📍青色申告の主なメリット

  • 最大65万円の特別控除が使える
  • 家族への給与を経費にできる
  • 赤字を3年間繰り越せる

控除額(10万円・55万円・65万円)は
記帳の方法や提出方法によって変わります。

💡青色申告特別控除の違い

控除額 条件
65万円控除 55万円控除の条件に加えて、電子帳簿保存またはe-Taxで確定申告していること
55万円控除 複式簿記で記帳し、期限内(翌年3月15日まで)に確定申告書を提出していること
10万円控除 上記以外の方法(簡易簿記など)

帳簿づけは、少しむずかしそうに感じるかもしれません。
ですが、クラウド会計ソフト(freeeやマネーフォワードなど)を活用すれば
仕訳や集計が自動化され、初めての方でもスムーズに記帳できます。

用紙はこちらからダウンロードできます

👉 所得税の青色申告承認申請書(国税庁公式サイト)

提出期限は開業から2か月以内
開業届と一緒に提出しておくとスムーズ。
65万円控除を受けるなら、電子帳簿保存またはe-Taxでの申告を忘れずに!

③ 開業前後にやっておきたい準備

開業届を出す前でも、出したあとでも大丈夫。
ここでは、フリーランスとしてスムーズに事業を始めるための
“お金と仕事まわり”の準備をまとめました。

小さなことのように思えても、最初に整えておくことで
後の手間やトラブルをぐっと減らせます。

1. 事業用の口座を作る

プライベートと事業のお金を分けるのは必須です。
収入と経費の流れが明確になり、確定申告や経営の把握がぐっと楽になります。

銀行で新しい口座を開くときは、屋号付きの名義で作ると
取引先からの信頼にもつながります。

2. クレジットカードの準備

クレジットカードを使うと、事業にかかる支払いをひとまとめにできて
管理がしやすくなります。

💳 最近は、フリーランスでも作りやすい事業用カードも増えています。

たとえば、オリコ EX Gold for Biz S、JCB Biz ONE三井住友カード ビジネスオーナズなどは、個人事業主や開業直後の方にも人気があります。

このカードは事業専用で使おうと決めて
開業後はプライベートと事業の支払いをしっかり分けることが大切です。

3. 会計ソフトの初期設定

クラウド会計ソフトを使えば、銀行やクレカの明細を自動で取り込むことができ
日々の記帳がぐっと楽になります。
勘定科目の設定や初期登録は、早めに済ませておくと安心です。

4. 領収書やレシートの整理

小さな支出も積み重なれば大切な経費です。
封筒やファイルに、月ごとにまとめると良いでしょう。

こまめに会計ソフトで記帳しておくと
確定申告の時期に慌てずに済みます。

5. 名刺・SNS・ホームページなどの準備

フリーランスにとって「信用づくり」はとても大切です。

名刺やプロフィール、SNSアカウント、ホームページなどを

少しずつ整えておくことで、仕事のチャンスが広がります。

お金の管理は、まず「分ける」ことから。
クレジットカードや会計ソフトをうまく使えば、日々の経理がずっとラクになります。
領収書はこまめに整理して、会計ソフトで記帳する習慣を。
そして、名刺やSNSの発信は“信頼づくりの第一歩”として整えていきましょう。

まとめ

開業は、届け出を出して終わりではなく
“自分の力で歩き出すためのスタートライン”です。

はじめから完璧を目指す必要はありません。
開業届や青色申告の手続き、会計ソフトの設定など
できるところから少しずつ整えていけば大丈夫。

ただし、届出には提出期限があるので、その点だけはしっかり気をつけましょう。
期限を守ることで、青色申告の特典もきちんと受けられます。

一つひとつ準備を進めるたびに
あなたの事業の形が少しずつ見えてきます。
そしてその積み重ねが、未来の安心と信頼へとつながります。

焦らず、自分のペースで。
今日の一歩が、フリーランスとしての新しいスタートです🌿