会社のお金と経営の話

小さな会社こそ数字に強くなるべき理由

「数字を見るのが苦手で…」
「経理のことは人に任せている」
そんな声をよく耳にします。

でも実は、小さな会社ほど“数字に強くなる”ことが大切なんです。
なぜなら、数字は会社の今を映す鏡のようなものだから。

鏡をのぞけば、自分の表情や体調がわかるように
数字を見ることで会社の調子や変化が見えてきます。
苦手意識を少し手放して、“会社の鏡”をそっとのぞいてみましょう。

なぜ小さな会社ほど数字に強くなるべきなのか

1️⃣ 勘と経験だけでは守れない時代

これまでは「なんとなくの感覚」でうまくいっていた会社も
今は物価の上昇や取引先の変化など、予想がつきにくい時代です。

数字を見ていないと

  • どの仕事で利益が出ているのか

  • どの部分にムダがあるのか

などに気づくのが遅れてしまいます。

数字は、経営の“道しるべ”のようなもの。
地図があれば、どんな道も迷わずに進めますよね。

2️⃣ 数字は「早めの気づき」をくれる

「最近ちょっと売上が落ちている気がするな…」
そんな“なんとなく”を放っていませんか?

数字を見る習慣があると
「この取引先の売上が減っている」「経費が増えている」など
小さな変化にすぐ気づけるようになります。

会社の数字は健康診断のようなもの。
定期的にチェックしていれば、
重症になる前に手を打つことができます。

3️⃣ 数字で話せると信頼が生まれる

数字をもとに話ができる経営者は、社員や取引先からも信頼されます。

「今期の目標はこの数字にしよう」
「利益が出たらこの分をみんなに還元しよう」

こんなふうに、根拠をもって話せると
チーム全体が安心して同じ方向に進めます。

数字は、経営者と仲間をつなぐ“共通の言葉”です。

数字が苦手でもできる!経営に役立つ3つの指標

「数字を見なきゃ…」と思っても
どこから始めればいいのか分からない、そんな方も多いと思います。

でも大丈夫。最初はこの3つだけ見れば十分です。
難しい分析も、専門知識もいりません。
小さな“気づき”から始めていきましょう。

① 粗利益(売上 − 仕入・外注費)

まずは、“どれくらい稼げているか”を知るための数字です。
売上が増えても、仕入や外注費が増えすぎていれば利益は残りません。

たとえば

  • 値下げをしすぎていないか
  • 材料費や外注費が上がっていないか

をチェックしてみましょう。

「売上より“粗利益”を意識する」
ここを見ると、会社の稼ぐ力が見えてきます。

 

② 売上高販管費比率(販管費 ÷ 売上高)

次に見るのは、「使うお金のバランス」です。
売上に対して、どれくらい“販売費および一般管理費(販管費)”がかかっているかを表す数字です。

たとえば、売上が上がっているのに利益が増えないときは
この売上高販管費比率が高くなっている可能性があります。

📘 販管費とは?

会社を動かすための経費のこと。
たとえば

  • 人件費(給料・社会保険料など)
  • 事務所の家賃・水道光熱費
  • 通信費・消耗品費
  • 広告宣伝費・交際費 など

売上を上げるため、会社を運営するために必要な“日常の経費”です。

この比率が高くなりすぎていると
「売上の割に経費がかかりすぎている」というサインです。

一方で、比率を下げすぎると社員が疲弊したり
宣伝活動が止まってしまうこともあるので
“無駄を減らし、必要な投資は残す”バランスが大切です。

“売上高販管費比率”は、会社の動きやすさを示す数字です。
高すぎればムダが多く、低すぎれば力が出せません。
無駄を減らし、必要な投資を残す——そのバランスを意識しましょう。

 

③ 現金残高とキャッシュフロー

どんなに利益が出ていても、現金が足りなくなれば会社は止まってしまいます。
だからこそ、毎月の現金残高を確認する習慣がとても大切です。

「今月はどれくらいお金が増えた?減った?」
通帳を開いて見るだけでもOKです。

お金の流れ(キャッシュフロー)を意識することで
資金ショートを防ぎ、安心して次の一手を考えられるようになります。

“現金残高とキャッシュフロー”は、会社の動きを支える数字です。
お金の流れをつかむことが、安心経営の第一歩です。

 

まとめ 数字は会社を守る味方

数字が苦手でも、少しずつ“見る習慣”をつければ大丈夫。

  • 粗利益は「稼ぐ力」
  • 売上高販管費比率は「使う力」
  • 現金残高は「守る力」

この3つを毎月チェックするだけで
会社の調子や変化が自然と見えてきます。

数字は、あなたの味方です。
完璧を目指さずに、“ちょっと見てみる”ところからはじめましょう。